
水虫・爪水虫(真菌感染)
水虫・爪水虫(真菌感染)について
水虫は、白癬菌(はくせんきん)というカビが足の皮膚に入り込んで生じる病気です。足の指の間の皮膚がめくれる趾間型(しかんがた)・足の裏や縁に水ぶくれができる小水疱型・皮膚が厚く乾燥してひび割れる角質増殖型に分類されます。
爪水虫は、水虫をきちんと治療しなかったために、足から爪へ白癬菌が移り住んで起こります。これも、顕微鏡検査で白癬菌を確認してから治療します。
水虫の治療法
抗真菌剤
カビを殺す塗り薬を塗ります。症状の出ている所のみではなく、足全体にぬるのが好ましいです。
- ポイント1
外用期間は最低でも3ヵ月は塗りましょう。 - ポイント2
白癬菌は角質に潜んでいます。角質がアカとなってはがれるまでに1~2ヵ月かかりますので、症状がきれいになってからも、1~2ヵ月はお薬を塗り続けましょう。
爪水虫の治療法
外用薬
カビを殺す塗り薬を塗ります。症状の出ている所のみではなく、足全体にぬるのが好ましいです。
内服薬
飲んで治す薬には、ネイリンやラミシールやイトリゾールがあります。飲み薬は肝機能障害を起こす副作用があるので、定期的に血液検査をしながら内服します。
- ポイント
爪の成長は、完全に生え変わるのに、手の爪で約6か月、足の爪で約1年~1.5年かかるので、じっくり治療に取り組む必要があります。
とびひ(伝染性膿痂疹:細菌感染)
とびひ(伝染性膿痂疹:細菌感染)について
ブドウ球菌によって水ぶくれがおきる水疱性膿痂疹と、レンサ球菌によってかさぶたができる痂皮性膿痂疹があります。掻きむしった手を介して、あっという間に発疹が全身へ広がる様子が、火事の火の粉が飛び火することに似ているため、「とびひ」と呼ばれています。
7歳以下の乳幼児で、夏に多く発生します。アトピー性皮膚炎の患者さんはかかりやすい傾向があります。
治療は、抗生物質の内服と外用と、必要に応じてかゆみ止めの内服で、1週間程度で治ることがほとんどですが、それ以上時間がかかるときはMRSAという治りずらい菌がついていることが多いです。その時は抗生剤内服を工夫します。
また、抗菌作用のある杉の成分のヒノキチオールの入った、「ひばの湯」という入浴剤の使用も効果があることがあります。
他人に感染させる病気ですので、早めに皮膚科受診をしましょう。
頭しらみ(虫の感染)
頭しらみ(虫の感染)について
しらみは、大きさ3㎜程の虫で、頭髪に白いフケのような虫卵が点々と付着して気づかれます。また、頭がかゆいと訴えることでも気づかれます。顕微鏡検査で、しらみの成虫や卵の存在をもって確認します。
市販の「スミスリン・パウダー」や「スミスリン・シャンプー」を使用しますが、近年スミスリンが効かないピレスロイド系耐性のシラミが存在し、その場合は有効成分ジメチコン使用の、市販の「アースシラミとりローション」が有効です。
頭しらみは、学校などの共同生活により学童間で流行するが多く、また家族内感染が多いので、注意が必要です。
みずいぼ(伝染性軟属腫:ウイルス感染)
みずいぼ(伝染性軟属腫:ウイルス感染)について
原因は伝染性軟属腫ウイルスによる感染です。
人から人への感染で、幼稚園生や小学生などの、子供同士が裸で接することが多いプールなどでの感染が多いようです。
自然治癒もある病気ですので経過を見るのも一つの方法ですが、広がる場合には水イボ用ピンセットで摘み取ります。ただし、痛みを伴いますので、処置前1時間前にペンレスという麻酔のシートを貼ってから取ることをお勧めします。
痛みを我慢できない小さなお子様には、乳酸やモノクロロ酢酸を塗る処置や、ご自宅で塗って頂くm-BF CREAMという銀配合クリームの販売もしております。
帯状疱疹(ウイルス感染)
帯状疱疹(ウイルス感染)について
身体の左右どちらか一方に、ピリピリと刺すような痛みと、これに続いて赤い斑点と小さな水ぶくれが帯状に現れる病気です。帯状疱疹は、身体の中に潜んでいたヘルペスウイルスの一種の水痘・帯状疱疹ウイルスによって起こります。
みずぼうそうにかかったことのある人なら、誰でも帯状疱疹になる可能性があります。一般的な合併症として、発熱や頭痛があります。また顔の帯状疱疹では、角膜炎や結膜炎を起こすことがありますので、眼科の受診もお勧めします。稀に、ラムゼイ・ハント症候群という耳鳴りや難聴や顔面神経麻痺が生じることがあるため、耳の近くの帯状疱疹では耳鼻科の受診もお勧めします。
通常、皮膚症状が治ると痛みも消えますが、その後もピリピリするような痛みが持続する場合は帯状疱疹後神経痛といい、痛みが強い場合は神経ブロックが必要ですので、麻酔科のペインクリニックをご紹介します。
治療の基本は抗ヘルペスウイルス薬の内服で、アメナリーフやファムビルやバルトレックスなどがあります。痛み止めに非ステロイド系抗炎症剤の内服やビタミンB12の内服も併用されます。外用剤は非ステロイド抗炎症剤の軟膏や化膿止めの軟膏などを使用します。
身体全体に発疹が広がる汎発性の帯状疱疹の場合は、入院しての点滴療法が必要ですので、大学病院をご紹介します。
予防診断を受けましょう!
日本人の場合、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹になるといわれていて、50歳を過ぎたら帯状疱疹の予防接種をすることをお勧めしています。帯状疱疹予防ワクチンには、ビゲンの生ワクチンと、シングリックスの不活化ワクチンの2種類のご用意があります。帯状疱疹の予防接種をご希望の方は当院にご相談ください。

単純ヘルペス(ウイルス感染)
単純ヘルペス(ウイルス感染)について
口唇ヘルペスと性器ヘルペス、カポジ水痘様発疹症の3種類があります。
口唇ヘルペス
原因は単純ヘルペスウイルス1型の感染です。唇やその周囲にピリピリ・チクチクするような違和感や痒みが生じた後、軽い痛みを伴う水ぶくれができる病気です。初めての感染の時は水ぶくれが沢山でき、再発時は水ぶくれが少なくなります。
- ポイント1
症状が出ている人の水ぶくれ、唾液、涙液などに接触することで感染します。 - ポイント2
ウイルスが付着したタオルやコップなどの物を介して感染することもあります。 - ポイント3
単純ヘルペスは一度感染すると、生涯にわたって神経に潜伏します。健康な時は、潜伏しているウイルスは免疫によって抑えられていて活動できないため症状は出ません。しかし発熱・疲労・ストレス・強い紫外線・外傷等の刺激で免疫が低下して、ウイルスが活動し始めると症状が出てきます。
性器ヘルペス
原因は単純ヘルペスウイルス2型の感染です。性器やその周囲、お尻に小さな水ぶくれができ、痛みや痒み、不快感を伴う病気です。初めての感染の時は症状が強く多数の水ぶくれや発熱を伴うことがありますが、再発時は水ぶくれは少なくなります。
- ポイント1
接触により感染するため、ウイルスに感染している相手とのセックスが主な原因となりますが、ウイルスが付着したタオルや便座など物を介して感染することもあります。 - ポイント2
性器ヘルペスも口唇ヘルペスと同じように、一度感染すると、生涯にわたって神経に潜伏します。また、口唇ヘルペスの症状が出ている時にオーラルセックスをしても、パートナーが性器ヘルペスになる可能性があります。
刺激性接触皮膚炎
アトピー性皮膚炎や、湿疹を持つ乳幼児に好発する、湿疹病変の上に小水疱が融合する病気です。
口唇ヘルペスの治療法
治療は、抗ヘルペスウイルス薬の飲み薬(バルトレックスやファムビル)で、軽症の時は塗り薬(アラセナA軟膏やゾビラックス軟膏)を使います。但し、ヘルペスは皮膚と神経の病気なので、できるだけ飲み薬の方が効果が良いです。
テキスト唇やその周囲に違和感が出てきた早い段階ですぐに治療を始められるように、あらかじめ飲み薬をお渡しできる、正規品のファムビルのみを使った「PIT療法」やアメナリーフを使った「PIT療法」もありますので、再発を何度も繰り返す方はご相談ください。
性器ヘルペスの治療法
治療は、抗ヘルペスウイルス薬の飲み薬(バルトレックスやファムビル)で、重症の場合は入院して点滴静注することもあります。再発を高頻度で繰り返す方は、バルトレックスによる「再発抑制療法」がありますので、ご相談ください。
カポジ水痘様発疹症の治療法
カポジ水痘様発疹症の治療法
手足口病(てあしくちびょう:ウイルス感染)
手足口病(てあしくちびょう:ウイルス感染)について
原因は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスによる感染です。
乳幼児に好発しますが、大人でもかかります。発熱から2日くらいたって、手のひら、足の裏、口の中に紅斑や水疱ができ、時に肘やお尻にもできることがあります。1週間ほどで自然に治ります。
治療は、対症療法で、水分補給に努め、水疱に対しては非ステロイド外用剤、口内炎に対してはアフタゾロンなど口内炎治療薬などを用います。経口・飛沫・接触感染し、しばしば施設内流行を起こします。
りんご病(伝染性紅斑:ウイルス感染)
りんご病(伝染性紅斑:ウイルス感染)について
原因はヒトパルボウイルスB19による感染です。小児の、頬の「平手打ち様紅斑」と四肢伸側の「網状紅斑」が特徴です。成人の場合は、四肢の非特異的紅斑と関節痛が見られ、膠原病と区別する必要があります。
妊娠20週未満の妊婦が感染すると、胎児水腫や胎児死亡も見ることがあるので、注意が必要です。
治療は対症療法ですが、多くは特に治療を必要としません。
みずぼうそう(水痘:ウイルス感染)
みずぼうそう(水痘:ウイルス感染)について
原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染です。主として小児がかかる病気ですが、成人で発症した場合は重症になりやすく、注意が必要です。発熱・倦怠感と同時に全身に赤みと小水疱が出現し、その後痂皮(かさぶた)ができて、約7日で治ります。
極めて強い感染性がありますので、全ての発疹がカサブタになるまでは学校や会社にはいけません。
重症化した場合は、脳炎や肺炎を合併することがあり、成人では注意が必要です。
治療は、抗ヘルペスウイルス薬のバルトレックス内服と、発疹を乾かすカチリという外用剤です。熱にはカロナールなど、対症療法です。水痘ワクチンの予防接種をしておくと、発症しても症状が軽く済む傾向があります。
はしか(麻疹:ウイルス感染)
はしか(麻疹:ウイルス感染)について
原因は麻疹ウイルスによる感染です。2週間の潜伏期を経て、発熱と風邪症状で初発し、いったん解熱するとともに口腔内に白色斑が出現し、再度発熱して全身に融合性の小紅斑が出現します。重症化すると肺炎や脳炎や中耳炎になることがあります。
ワクチンをしておくことが重要です。また麻疹ウイルスに効く薬はないので、かかってしまったら、咳止めや解熱剤などの対症療法となります。極めて強い感染性がありますので、解熱後3日経過するまで、出席停止です。
3日はしか(風疹:ウイルス感染)
3日はしか(風疹:ウイルス感染)について
原因は風疹ウイルスによる感染です。2~3週間程度の潜伏期を経て、全身に融合しない紅色丘疹・耳後部のリンパ節腫脹・発熱がおき、発疹は3日で消えます。
強い感染生がありますので、紅斑性の発疹が消失するまで出席停止です。
治療は、対症療法です。これも、ワクチンをしておくことが重要です。ただし、妊婦への予防接種は禁忌です。風疹の最大の問題は、妊娠初期に妊婦が風疹の初感染によって、先天性風疹症候群を起こすことです。


