
腫瘍
粉瘤
皮膚の下に袋状の物ができ、その中に垢と皮脂が詰まった良性のできものです。炎症性粉瘤は赤く盛り上がり、痛みを伴いますので、抗生剤や鎮痛剤を飲む必要があります。
アクロコルドン
首や胸や脇にたくさんできるイボのことです。良性のできものですので、必ず取る必要はありません。小さなハサミで切ったり、冷凍凝固で凍らせて取ったりします。
老人性イボ(脂漏性角化症)
日光老化が関係しているイボ状の良性のできものです。ダーモスコピーを用いて、悪性黒色腫(ほくろの癌)と鑑別します。冷凍凝固で凍らせて取ります。
ほくろ(母斑細胞性母斑または色素性母斑)
褐色ないし黒色、ときに正常皮膚色の色素斑あるいは腫瘍で、良性のできものか、悪性黒色腫(ほくろの癌)か、ダーモスコピーを用いて鑑別します。
ほくろの癌が疑われる場合や、手術による切除をご希望の場合は、連携する大学病院をご紹介します。
やけど(熱傷)
やけど(熱傷)について
やけどは、高温による皮膚組織の障害で、やけどの深さによって、治る時間も治った後の傷跡も違います。やけどの深さによって、1度、2度、3度に分けられます。
やけどの種類
1度(表皮熱傷)
ひりひりする赤みだけの状態で、数日のうちに瘢痕を残さず治癒します。
2度(真皮熱傷
水疱を生じます。浅層真皮熱傷と深層真皮熱傷に分けられ、浅層真皮熱傷は約2週間で治癒し軽い色素沈着が残る程度ですが、深層真皮熱傷は治癒までに約4週間かかり瘢痕を残します。
3度(皮下熱傷)
皮膚全層に熱傷が及んだ状態で、治癒までに数カ月を要し、瘢痕を残します。
治療は、1度と2度の浅層ならステロイド外用剤やドレッシングですが、2度の深層真皮熱傷と3度の熱傷は、熱傷に詳しい病院での治療が必要となります。
ご自宅でやけどしたら、水道などの流水で20分ほど冷やし、その後水疱をやぶらないようにしてサランラップで巻き、早めに医療機関で治療を受けましょう。
原発性腋窩多汗症
原発性腋窩多汗症について
汗の量が多くなる原因となる病気や障害がないにもかかわらず、多量のわき汗に悩まされる疾患で、明らかな原因がないまま6か月以上日常生活に支障をきたすほどのわき汗がみられ、以下の6症状のうち2項目以上当てはまる場合を、原発性腋窩多汗症と診断します。
原発性腋窩多汗症の主な症状
最初に症状がでるのが25歳以下であること
体の左右両方で同じように発汗がみられること
睡眠中は発汗が止まっていること
1週間に1回以上多汗の症状がでること
家族にも同じ疾患の患者さんがいること
わき汗によって日常生活に支障をきたすこと
原発性腋窩多汗症の治療薬として、新たな薬剤が保険適応として使用されています。塗り薬のエクロックゲル5%と、シート型で脇を拭くラピフォートワイプ2.5%です。
両者ともエクリン汗腺の受容体と結合することでアセチルコリンの結合を阻害し、発汗を抑えます。副作用として、口の渇き。皮膚のかぶれ、光がまぶしく感じる、尿が出にくい、体温調節の異常などがあります。日本人のおよそ20人に1人がかかる決して珍しくない病気ですので、当てはまる方はご相談ください。
酒さ
酒さについて
酒さは、「赤ら顔」ともよばれ、鼻や頬、額などに赤みやニキビのような症状が出る病気です。皮膚の症状に加えて、ほてりやヒリヒリ感なども見られます。30~50歳代に発症しやすく、男性より女性に多い傾向があります。
酒さの種類は大きく4つに分けられます。
酒さの種類
- 紅斑毛細血管拡張型
- 丘疹膿疱型
- 鼻瘤
- 眼型
酒さの原因遺伝子があるとは言われていますが、詳しい原因は明らかになっていません。また酒さを悪化させる要因がたくさんあり、その要因は患者さんによってさまざまです。日光や高気温・低気温などの外部環境、精神的ストレスや食べ物や医薬品などによる体の内部環境など、さまざまな要因が重なって発症すると考えられています。
酒さの対処法は、治療、悪化因子を避ける、スキンケアの3本柱です。
治療として、塗り薬のロゼックスゲルというメトロニダゾールゲルが保険適応になりました。また、丘疹膿疱型にはビブラマイシン内服が、紅斑毛細血管拡張型には越婢加朮湯などの漢方薬の飲み薬も効果があります。自費にはなりますが、ロゼックスゲルが無効の時はロート製薬のアアゼライン酸ゲルのAZAクリアや、リビジョンスキンのC+CorrectingComplex30%も効果があることがあります。
また、当院のIPL治療(光治療)のライムライトや、レーザー治療のYAGレーザーも効果があることがあります。
悪化因子を避けるのは、自分にとって症状を悪化させるものを見つけ、できるだけ避けることが大切です。また、スキンケアは、刺激の少ないスキンケア用品を選び、皮膚を清潔に保ち、保湿を心がけ、紫外線を防ぐことが大切です。


